第16章
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を夕方と同じ場所に停め、同じ金網の裂け目から敷地内に入ったら、入り口のところで、忍野はもう待っていた。ずっとそこにいたという風に。「……え」その忍野の服装に、戦場ヶ原が驚く。忍野は、白ずくめの装束――浄衣に身を包んでいた。ぼさぼさだった髪もぴったりと整えられて、夕方とは見違えてしまうような、少なくとも見た目だけは小綺麗な格好になっていた。馬子にも衣装。それなりに見えてしまうのが、逆に不快だ。「忍野さんって――神職の方だったんですか?」「いや? 違うよ?」あっさり否定する忍野。「宮司でもなければ禰宜でもないさ。大学の学科はそうなんだけれど、神社に就職はしていない。色々思うところがあってね」「思うところって――」「一身上の都合だよ。馬鹿馬鹿しくなったってのが真相かもね。何、この服装は、単純に身なりを整えただけだよ。他に綺麗な服を持っていなかっただけ。神様に遭うんだから、お嬢ちゃんだけじゃなく僕だって、きっちりしておかないとね。言ってなかったっけ? 雰囲気作り。阿良々木くんのときは、十字架持って大蒜下げて、聖水を武器に戦ったもんさ。大切なのは、おおむ ? ?しょうぞく じょうえまご? ? ? ?ぐうじ ねぎふんいき59試用中試用中試用中試用中試用中試用中試用中試用中状況なんだ。大丈夫、作法はいい加減だけど、これでも付き合い方は心得ている。無雑作に御幣振って、お嬢ちゃんの頭に塩撒くような真似はしないさ」「は、はあ……」戦場ヶ原が、少し呑まれていた。確かに、面食らう格好でもあるが、しかしなんだか、彼女にしては若干過剰反応のようにも思えてしまう。どうしてだろう。「うん、お嬢ちゃん、いい感じに清廉になっているよ。見事なもんだね。一応確認しておくけれど、お化粧はしていない?」「しない方がいいかと思って、していません」「そう。ま、とりあえず正しい判断だ。阿良々木くんも、ちゃんとシャワー、浴びてきたかい?」「ああ。問題ないよ」僕もその場に同席する以上、それくらいは仕方のないことだったが、その際戦場ヶ原が僕のシャワーを覗こうとしてひと悶着あったことは、秘密にしておこう。「ふうん。きみは代わり映えしないねえ」「余計なことを言うな」というか、同席するとはいえあくまで部外者なので、戦場ヶ原のような着替えまでは行っていないのだから、代わり映えしなくて当然だ。「じゃ、さっさと済ませてしまおう。三階に、場を用意しているから」「場?」「うん」言って、忍野はビルディングの中の暗闇に消えていく。あんな白い服なのに、すぐに見えなくなってしまう。夕方と同じように、僕は戦場ヶ原の手を引くように、忍野を追った。「しかし、忍野、さっさとなんて、えらく気楽に構えてるけど、大丈夫なのか?」「大丈夫って、何が? 年頃の少年少女を、夜中に引っ張り出すなんて真似をしているんだ、早く終わらせたいっていうのは、大人として当たり前の人情だろう」「その、蟹だかなんだかって、そんな簡単に退治できるもんなのかって意味だよ」「考え方が乱暴だなあ、阿良々木くんは。何かいいことでもあったのかい?」忍野は振り向きもせず肩を竦める。「阿良々木くんのときの忍ちゃんや、委員長ちゃんのときの色ボケ猫とは、場合が違うんだよ。それに忘れちゃいけないよ、僕は平和主義者だ。非暴力絶対服従が、僕の基本方針。忍ちゃん達は、悪意と敵意を持って、阿良々木くんと委員長ちゃんを襲ったわけだけれど、今回ごへい まのせいれん? ? ? ?60試用中試用中試用中試用中試用中試用中試用中試用中の蟹は、そうじゃないんだから」「そうじゃないって――」事実、被害が出ている以上、そこには悪意なり敵意なりがあると、そう判ずるべきじゃないのだろうか?「言ったろ? 相手は神様なんだよ。そこにいるだけ、何もしていない。当たり前だから、そこにいるだけ。阿良々木くんだって、学校が終われば家に帰るだろう? そういうこと。勝手にお嬢ちゃんが、揺らいでいるだけなのさ」障らない、襲わない。憑かない。勝手にというのは酷い言い草だと思ったが、しかし、戦場ヶ原は、何も言わなかった。思うところがないのだろうか、それとも、今からのことを考えて、忍野の言葉に、あまり反応しないよう心掛けているのだろうか。「だから、退治するとかやっつけるとか、そんな危険思想は捨てなさい、阿良々木くん。今から僕達はね、神様にお願いするんだよ。下手に出てね」「お願い――か」「そう。お願い」「お願いしたら、それではいどうぞと返してもらえるもんなのか? 戦場ヶ原の――重み。体重は」「あえて断言はしないけれど、多分ね。年末年始の二年参りとは訳が違うんだから。切実な人間の頼みを断るほど、彼らは頑なじゃないさ。神様っていうのは、結構、大雑把な連中なんだ。日本の神様は特に適当なんだよ。人間という群体そのものならともかく、僕達個々人のことなんて、連中、どうでもいいんだ。本当にどうでもいいんだよ? 実際、神様の前じゃ、僕も阿良々木くんもお嬢ちゃんも、区別なんかつかないよ。年齢も性別も重みも関係なく、三人とも、同じ、人間、ってことでね」同じ――同じような、ではなく、同じ、か。「ふうん……呪いとかとは、根本的に違うんだな」「ねえ」意を決したような口調で、戦場ヶ原が言った。「あの蟹は――今も私のそばにいますか?」「そう。そこにいるし、どこにでもいる。ただし、ここに降りてきてもらうためには――手順が必要だけどね」つかたく おおざっぱ? ? ?? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ?61試用中試用中試用中試用中試用中試用中試用中試用中三階に到着した。教室の中の、一つに入る。入ると、教室全体に、注連囲いが施されていた。机と椅子は全て運び出され、黒板の前に、神床――祭壇が設けられている。三方折敷に神撰、供物が備えられているところを見れば、今日あれから、急遽作られた場というわ<p style="font-weight: 400;color:#af888c;">(继续下一页)六六闪读 663d.com
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